声優といえば、今では若い世代の間で人気の職業となっています。しかし、すでに社会人経験をした大人が、声優として転職に挑むというケースも少なくありません。
例えば、現在の仕事に意欲が持てなくなる、現状の自分に満足できないなど不安に思っている時に、アニメや洋画を見て心が癒やされたことがきっかけとなって、声優に興味を持つ場合があります。
この場合、サラリーマンやOLといった、これまで芸能や声優の世界と全く無縁だったという人が大半のため、まずは声優事務所や芸能事務所が運営している養成所に入所し、声優について基礎から学んでいきます。その後、声優としての実力を身につけてプロダクションに所属できれば、ようやく一人前の新人声優として世間に認めてもらえます。

現在活躍している声優陣は、はじめから声優という職業を目指している人が大半を占めています。しかし、以前はそうではなく、違う分野の芸能活動をしていた人が仕事のひとつとして声優にチャレンジし、それがきっかけとなって以降も引き続き声優として活動を続けているといったパターンが多かったようです。
特に小さな劇場で活動している舞台俳優や女優が、その演技力を買われて声優としての仕事を受けることが多かったと言われています。
この場合、声優になったきっかけは偶然の要素が強いわけですが、もちろん誰しもが活躍できたというわけではなく、元々演技力が高くかつ声優という仕事に情熱を傾けられた人だけが、その後も長く続けて一流の声優になっています。

意外に思われるかもしれませんが、声優の中には小さい頃から自分の声にコンプレックスを持っていたという人が少なからずいます。
例えば、男性なのに地声がまるで女性のような高い声だったり、逆に女性なのに男の子のような声だったりといった、周りとは違う声質を持ってしまったが故の悩みがあったようです。
しかし、普通の人と違う声を出せるということは、裏を返せば声優として大きな武器となります。たとえ自分がそれに気付いていなかったとしても、周りが声優という職業があるよと勧めてくれたのがきっかけとなって、声優界に思いきって飛び込んだというエピソードもあります。
また、家族や友人といった私的な知り合い以外に、仕事関係の知人に勧められて声優になったという人もいるようです。
声優界やアニメを製作する現場というのは横のつながりが非常に強く、これまでまったく声優の仕事をしたことがなくても、何かのきっかけで声が掛かったという場合もあります。例えば、ある声優は元々現場では制作側の人間だったのに、その日になって突然声優が足りないことが発覚。急きょ代役として声優を務めたことがきっかけとなり、それからずっと声優として活躍しているというエピソードもあります。
もちろん、こういった出来事はあくまでもイレギュラーなので、今から声優を目指すというのならば、きちんとはじめから声優としてトレーニングを積み重ねていくのが最善です。

芸能界に関わる仕事のほぼ全ては、何らかを表現し、世間に対してアピールしていくことに他なりません。その中でも声優という職業は、アピールをするための方法が自分の声のみという特殊な環境です。したがってその分、他の職業よりも表現力や演技力の高さが求められるでしょう。
声優を目指す人の多くが、小さな頃から動物やほかの人を表現するのが好きな性格をしていることが多いです。つまり、自分がさまざまな人や物を表現したいと思ったことがきっかけとなって、声優を選んだという人が多くなっているようです。
また、実際に演技をしている声優の声を聞いて、「自分もこんな風に表現してみたい」という思いが強くなったというのも、声優を目指すきっかけとしてよく聞く話です。
このように声優を目指すきっかけはさまざまですが、声優として長く活動を続けるには自分だけの自慢できる個性を磨いたり、基本的な演技力を身につけたりと、そのトレーニングの方向性は基本的に変わりません。あくまでも、きっかけはきっかけとして執着しすぎず、オンリーワンの声優になるべく地道な努力をしっかりと続けていきましょう。